本の雑誌 2012年11月号 (No.353) / 本の雑誌社 / 762円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「神保町で遊ぼう!」。
編集部を神保町に移したのは正解でしたね。短期間でこれだけ充実した特集と別冊を発行できるのですから、ロケーションって重要なのだと改めて思います。
特集はツボちゃんのエッセーで始まり、古書展や古書店、食事、隠れ家、地図と幅広く神保町の魅力を伝えてくれます。みんなの好きさが伝わってきて嬉しくなる記事ばかり。
で、感化された私も本誌の座談会と地図を便りに初めてSFやミステリーの専門古書店を巡って来ました。それまで靖国通りの店をふらふら眺めるだけだったので、充実したツアーになりました。こんなのもあるんだ、とか、この値段になるのか、とため息ばかりで入手できた作品は少なかったのですが…。なお、お奨めのラーメン二郎やキッチン南海は信じられない行列で断念。行かれる方はご注意を。
『古本の雑誌』も実質的な巻頭言はツボちゃんでした。そんな彼を呼び捨てにする(できる)津野海太郎は、本を増やさない方法。要は図書館を活用して買わないようにするだけなのですが、その前に退職による収入減が引き金というのが何とも寂しい。
今月のダブリ本の『蒼い脂』はヘンな本ですが大森望、豊崎由美と想定の範囲内。逆にこれが重複するの? と驚いたのが『世界珍本読本』。んー、だめだろ、これと思いますが、見てみたい。そして「上半期ベスト1」でも触れられた『ピダハン』を紹介するのが吉野朔実。いい友だち持っているなぁ、と思うのと、この犬を横に唸る自画像が好きです。
青山南さんには wikipedia では履歴を参照できることを教えてあげたい。履歴を見ると2012年8月くらいから「The Human Stain」の項では Anatole Broyard を巡る編集合戦が起きていますね。それ以前の例えば次の今年冒頭の状態の記事を見ると元の記述がわかります。
http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=The_Human_Stain&oldid=493566373
入江敦彦の『五体不満足』批判は、マイノリティについて誰もが感じる違和感を正面からぶった斬り。そうは言っても、これ、自分をマイノリティと自覚しているから語れるのだよな、と思ってしまう自分が何だか悲しいです。
穂村弘が紹介するのは、本の中で登場人物が読む本が気になるという話。心を静めたいときに読む本として紹介されるのがあるマンガなのだけど、うーん、私は熱くなってしまいますが…。
新刊紹介では佐久間文子と榎本文昌の薦める本が良かったです。