本の雑誌 2012年8月号 (No.350) / 本の雑誌社 / 762円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「上半期ベスト1」。本誌でも高評価のものをきちんと並べてあり選出作はどれも面白そう。ただ第1位の読みどころが先月の原稿と全く同じというのはどうしたもの。座談会なので発言の重複は仕方ないとして、編集はもう少し気をつかっても良いのではないかな? リレー形式の月別ベスト1も良かったが、『ピダハン』の紹介が素晴らしい。超現実主義な人々と西洋文化の対比から、そこにエデンの園を見ます。
もう一つの特集は「いま編集者はどうなっておるのか!」。目玉のすごろくとその座談会は身内受けの感が強くて残念(小上がりは沢田康彦ですね)。人生最後の賭けも、なんとなく分かるけど、そんなうれしいのかなぁ。それより『重力ピエロ』の編集者や江弘毅のエッセイ、今月の一冊の『生涯編集者』の紹介の方がよほど良い。本誌執筆陣の文句と褒めも良いです。
三万円分お買い上げの角田光代と、オールタイムベストテンの平松洋子は、与えられたテーマに真摯に向きあった姿勢と丁寧な文章が心地よく、選んだ本に添えられた一つ一つの推薦の言葉から純粋に読んでみたい、見てみたいと思いました。
新刊ガイドでは北上次郎のおすすめ本がどれも一捻りあります。
林あまりの wikipedia は今も変わらず。「本の雑誌」って、そんなマイナーなのか? ちょっとチャレンジするか…。
津野海太郎は「遅読」時代は照明が暗かっただけと妙に説得力のある説を展開。
宮田珠己の「絵本には3種類ある。わけのわかる絵本と、わけのわからん絵本と、大きなお世話絵本」は納得。もちろん、真ん中に属する楽しげなやつを紹介してくれます。
木嶋佳苗事件本については柳下毅一郎の「最初か自分の見たいものしか見ていない感」ってのがすべて。
穂村弘「何にもない」は、少々痛い内容。高校の同窓会で何に驚くって、そんなに色恋沙汰があったの!? というくらい賑やかなこと。それなりの高校生活だったと思っていたので後でうむむとなりましたとさ。
今号の重複分では杉江松恋と風野春樹が薦める『三十三本の歯』も良さ気ですが、ツボちゃんと秋葉直哉の大久保「くろがね」の方に俄然興味。開店中に教えてくれい。
シーナさんの連載が始まりました。そうそう、ウエちゃん、公開問合せがありますよ。