本の雑誌2012年5月号 (No.347)

本の雑誌347号
本の雑誌 2012年5月号 (No.347) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

今号では吉野朔実の「駅には怪しい秘密がある」がとても良かったです。駅の概念が変わった、という言葉とリヨン駅のカット。国境線を列車で越える感覚をいつか味わってみたいものです。もう一つは円城塔の「見えない辞書」。辞書から検索の座を奪ったテキスト検索、の向こうに実は辞書があるというもので書影はオライリーの「入門 自然言語処理」。わぁ、円城塔だわ。

特集は「図鑑で遊ぼう!」図鑑編集者座談会が面白かったです。実名を出して語るのも良ければ、互いの著作物に対する敬意もあって、同じ苦労を重ねている同業の感じがよく出ています。タイトルの「自由研究にはアサリを使え!」も◎。意外に感じたのが図鑑における写真と比較した時のイラストの力。どちらも一長一短らしいですが、沢野さんを初め多くの人が記憶に残るイラストや絵師について言及しています。ここまでお気に入りの図鑑って私にないのが残念..。

津野海太郎は前回までの本を捨てる話し、捨てない話を続けてもっと欲しいのに、今回は歩き読書。正直、迷惑だろうな…。片岡義男をさらりと「編集仲間」と言い切ってしまうのがすごい。
宇田川拓也の向こうには内藤陳があったのか、と、なるほど。萩原魚雷は村上兵衛の「戦中派はこう考える」について。まったく知らない人でしたが wikipedia 等で事件の周囲を読めば読むほど興味深い。終戦直後から、あの戦争は黒歴史という風潮があったというのは実に日本らしく、ちょっと情けない。
トヨザキ社長は、自分なりの落とし前をつけているようですが、騒ぎにならなければ無視するレベルの作品に変わりないのでは?

新刊では、どのゲームもやったことないけど、クロスレビューで(若者にには)評価の良い『インサート・コイン(ズ)』と『花束に謎のリボン』の酒井貞道評がよかった。『小野寺の弟・小野寺の妹』は、このあと何が起きるのか、あるいは何が起きないのか、非常に気になる紹介です。

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