本の雑誌2012年4月号 (No.346)

本の雑誌 346号
本の雑誌 2012年4月号 (No.346) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集は「早川書房に行こう!」。ファンとしては楽しみな特集でしたがその期待を裏切らずイラストはcocoさん、同伴は大森さん、大人の対応の東京創元社に、社史に、OB翻訳家にと、とても「分かった」内容でした。対する早川書房も歓迎の言葉に始まり社長さんまで出てきての歓迎ぶりで良い特集になっています(依光課長は依光隆さんの関係者でしょうか?)
知らないことも多数あり、SFとミステリーでカタカナ表記が違ったり、OB翻訳者には矢野光三郎や野村芳夫や白石朗がいたり、「匿名座談会事件」なんて実は超有名事件もあったり(今まで何かオカシイなぁと思っていたことが全部しっくりきましたよ) etc. とレギュラー化して欲しい内容です。次回の特集ではトヨザキ社長同伴で国書刊行会を希望します。

その特集よりもワクワクし、かつ驚いたのが瀧本多加志の「大江健三郎の十冊」。ノーベル賞作家で面倒くさそうで退屈な親父と思っていたのですが、こんなに技術的、挑戦的な小説を書いていたとは知りませんでした。『洪水はわが魂に及び』とか良さそうです。

海外モノは佐久間文子や杉江松恋の紹介を読んでいると本当に売れてないのか不思議に思います。逆に冬の時代から遠くに来た感があるのが、大森望の新刊紹介で、冒頭3冊が★5、4.5、4.5 と傑作揃い。また酒井貞道初の★5は「地の底のヤマ」。角幡唯介の買い物リストにもある本です。ちなみに彼のリストの本は何度か買おうとして買えなった本らしく実際、どれも面白そうです。

『道化師の蝶』の最高の評は津野海太郎(1938年生)の「面白い。どこが難解なの?」に決定。1932年より若干若いところがミソか。その彼が蔵書を減らす話しは共感するところ大。機械的に捨てられる本から徐々に苦しくなっていく件はうんうん頷きながら読みました。

他に『人間とはどういう生物か』、『晴天の迷いクジラ』渡辺京二本

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