本の雑誌 6月号 (No.336) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は30ページ丸々新潮社ネタの「新潮社に行こう!」。書評誌的に一つの出版社を取り上げるなんてどうなのよと最初は思いましたが、意外や意外に嫌味なく、実に楽しく読めました。中でも矢野「新潮」編集長の「読者であるということ」を重要視する姿勢や純文学の定義を書き換えていきたいなんて、老舗とは思えない姿勢がかっこいい。他にもおじさん三人組の突撃、編集者列伝、仮想入社試験問題、それぞれが内容もよく、全体のバランスもよい。コンテンツ自体の質も量も膨大なため、どう料理してもうまく応えてくれた感じ。特集に新潮社を据えたアイデアが良かったですね。社員食堂行ってみたいなぁ。
シンポ教授の、集英社 山田裕樹インタビューも良かった。世の中にはこれだけ「当てる」人もいるのですね。グリグリと丸をつけて、って、その嗅覚が素晴らし過ぎます。
本を捨てられない人間にとって今月号の穂村弘の「夢オチ」はイタイ…。
大阪府立北淀高校の卒業アルバムには本当に笑いました。こんなの古本屋さんに売るなよ、という気持ちはありますが。
他では『ねじまき少女』と、先月号からの続きで『二流小説家』『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』。山崎まどかの連載が終わったのは残念。