本屋大賞2011 / 本の雑誌社 / 552円+税
表紙デザイン 寄藤文平
大々的に発表されているので順位を公表してもよいかと思いますが、大賞は『謎解きはディナーのあとで』。表紙とキャッチコピー「お嬢様の目は節穴でございますか?」から冴えていますが、内容もそれなりのようで、早々と100万部超え。キャラ立ちも見事で様々なメディア展開も期待できそうです。
ただ投票データの一位票だけを見ると一次投票では『悪の教典』に、二次投票では『ふがいない僕は空を見た』と『錨を上げよ』に負けています。二位票や三位票、言い方は悪いですが広島票で点数を稼いでいるわけです。書店員のコメントを見ても大賞がまるでツィッターのつぶやきのようなのに対して、2位以降のコメントは長く、深い。読んで楽しいだけの本が大賞でも何の問題もありませんし、それがかつての直木賞に対する本屋大賞の意義だったとはずですが、全体の意志を本当に結果が表しているのか考えさせられる結果でした。
『ふがいない僕は空を見た』の点数が伸びなかったのはあからさまな性描写に拒否反応を示した人が多かったせいでしょうか。『ペンギン・ハイウェイ』はSF大賞との二冠があっても、また、そろそろ森見登美彦さんにあげても…。と言ったら有川浩さんにも当てはまりますか。『錨を上げよ』は女性ウケしなかった点が大きそう。個人的には『シューマンの指』あたりが大賞だと面白かったかなと。
特別企画は「中2男子に読ませたい! 中2賞」。三人の中2男子に最終選考してもらっているのですが、これが見事に皆メガネの利口そうな子ども達。選ぶ本もひねりがあります。定番ですが『バッテリー』のコメントに笑いました。いい話です。