ラッカー奇想博覧会

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ラッカー奇想博覧会 / ルーディ・ラッカー / 黒丸尚、他訳 / ハヤカワ文庫SF / 660円(税込)
カバー : 横山えいじ
Collected 13 Short Stories of Rudy Rucker, 1995

日本オリジナル短篇集。ラッカーの長編は筆者のイマジネーションについていけず途中ストーリーごと見失ってしまうのですが、逆に短編は一本一本のアイデアが明確で分かりやすく、ラクに読むことができました。ただ良いものは少なかったのですが … 。

ベストは「宇宙の恍惚」。『20世紀SF 5』に既に収録済みのため初見ではありませんでしたが、初読と同じように楽しめました。最後のオチがいいやね。次は「虚空の芽」。全能の宇宙人にも越えられない壁があって、それが…、と、これも伏線ごと、ばっちり決まりました。逆に事前にかなり期待していた日本旅行でのエッセイ2篇は、構成が足りず今一つでした。

文中「アメリカでは、八冊の長編のうち、七冊が絶版だというのに。」 という部分がありますが(P.388)、2011年の日本ではすべてが絶版。著者まえがきによれば21世紀の日本人は知的でも、ウィットでも、未来指向でもないということですかね。

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