本の雑誌 4月号 (No.334) / 本の雑誌社 / 648円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
今月号は全体から古本屋の臭いが漂う古めかしい(?)号。萩原魚雷が連載を初めてからその気配はあったのですがね。冒頭の幸田露伴、杉山茂丸、『なんとなくクリスタル』、池島信平、武部本一郎などに加え、向井透史言うところの「出た瞬間から古本屋の棚に似合う本」が多いせいかもしれません。しかし夢野久作の父親の本を複数人が紹介しますかね、普通。何の根拠もありませんが、喜ぶ坪ちゃんの図が浮かびました。
特集は「一人出版社の時代がきたぞ!」。電子出版の時代なら一人出版社もありだよな、と思っていた所にこの特集。ただし中身は1月号で多くの人が触れていた『昔日の客』の夏葉社同様に、すべて印刷出力形式の本を扱う出版社です。しかも古本屋が似合いそうな…。決してラクではない環境でしょうが、講談社、新潮社の編集者が嬉しそう企画を挙げているところを見ると、それを補うだけの楽しさがあるのでしょう。それこそ51% vs 49%ですね。… ところで、えっ!! 群像社もなの!? と私も思いました。
新刊ではトヨザキ社長、山崎まどかの触れた『ミステリウム』がダントツに面白そう。示し合わせた訳でもないでしょうに互いに補完し合う紹介も見事です。続いて『パリ』ですが、これも山崎まどかだな。他に北上次郎、榎本文昌のおすすめも全部良さそう。特に『しづ子』の作者の執念は凄いなぁ。
穂村弘は古本巡りが好きな人にとってはあるあるネタ。萩原魚雷が紹介する山田風太郎の詩(?)は良いですねぇ。宮田珠己は自己啓発本で始まり、不思議な哲学本で終わる壮大な展開。藤田香織の「女子のイヤ汁漏れまくり系小説」は本当に本当にゾッとしそうで苦手…。ページをめくると辛酸なめ子の「女子校育ち」の広告が入るのは偶然か?
他に『ヒトの進化 700万年史』、<ミストボーン>3部作など。
読者アンケートのテーマは「新潮社のここが好き、ここが嫌い!」。ふーん、きっと特集になるのでしょう。
最後に、裏カバーの電子本リーダーはちょっとフクザツでした…。