本の雑誌12月号 (No.318)

本の雑誌 12月号 (No.318) / 本の雑誌社 / 648円+税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集は「この妻がすごい!」。冒頭の座談会は、さいとうよしこが自分の夫の事を持ち出さなければ満点の出来で、特に北方謙三の辺りや、子どもがいると妻は母化してしまうなど面白く読めました。そこで紹介された妻や読者の選んだすごい妻、それぞれに凄みがあって予想外にいい特集でした。

高野秀行はドバイの派遣切りを描く『地獄のドバイ』を紹介。派遣切り、即、刑務所という世界に笑いを持ち込むなんてまさにエンタメ・ノンフの王道。一方の宮田珠己は現代文明に放り込まれた石器時代の人の内面を描く『狂気の起源をもとめて』や『キキ自伝』。ついでに風野春樹は日本のUFO伝説本『江戸「うつろ舟」ミステリー』、柳下毅一郎はワールドカップを行う南アフリカは大丈夫か本気で心配になる『ルポ資源大陸アフリカ』。一緒に入れていいものか悩むけど渡邊十絲子の推す『原始日本語のおもかげ』も面白そう。ここらの周辺の紹介本は最近元気です。「名前変更物語」の方は腰砕けで残念でしたが…。

「アングラと聞いて胸がざわめくのは、もはや40代後半の世代だと思われる」とは吉野朔実の弁。たしかにちっともざわめきません。少し下の世代だと「サブカル」でしょうか。夢枕獏は北上次郎に十数本のシリーズ物の後始末についてキチンと答えています。投げ出す気はさらさらないのですねぇ。一本くらい「これは駄目だ」と投げてしまうシリーズとかありそうですが。古屋美登里は編集者山口晶と『この落語家を聴け!』の広瀬和生との授業風景。部屋での読書以外にも楽しいことはあるんだよ、という優しく誘います。ビンゴ本郷は少女漫画雑誌に共通して見られる「今は平凡だけどいつか変身する(変身させてもらえる)私」の解説。ミーツへの道は更にキナ臭くなりました。すばらしい成功との対比だけに他人事なのに悔しいやら腹が立つやら。

椎名さんは来年いっぱいで編集長を降りるとのことです。時代ですかねぇ。それに合わせた訳ではないと思うのですが柴口育子、川上賢一、 kashiba@猟奇の鉄人、ビンゴ本郷、大竹聡、畠中理恵子、高倉美恵が連載終了。お気に入りなのだけど、最近パワーが感じられない柴口育子の復活に期待します。

他に山崎まどかのお薦め本全部、津原泰水『バレエ・メカニック』、新城カズマ『15X24』、北上次郎のお薦め本3冊など。

P.S. 全然本題とは関係ありませんが Google IME(日本語入力システム)は、特に固有名詞の多い文章を書く場合は最高ですね。上の文章でもほとんどの固有名詞が途中まで入力したところで候補として表示されています。例:「わたなべと」まで入力したところで「渡邊十絲子」が候補に出てくる。

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