ホムンクルス

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ホムンクルス / ジェイムズ・P・ブレイロック / 友枝康子訳 / ハヤカワ文庫 FT / 540円 (本体524円)
カバー : 米田仁士
HOMUNCULUS by James P. Blaylock

19世紀末のイギリス。セント・アイヴスは、富豪が宇宙船を売春宿に隠しているという情報を元使用人から得る。アイヴスと同じ「トリスメギストス・クラブ」に属する発明家キーブルは、その富豪から自動機械の権利放棄を強制されている。町ではゾンビを産み出す医者や宣教師が活動し、同時に宝石やこびとの入った同じ意匠の複数の木箱が交錯する。 そんな中バードリップの気球が地上に降りてくるニュースが広がり、住民の意識は着陸点のヒースの丘に向かう。

最初100ページ位を読んでもまったく頭にストーリーや登場人物が入らず、仕方なしに冒頭に戻って読み直しました。ら、するとどうでしょう。世紀末のイギリスで繰り広げられるドタバタが頭の中にさっと広がってきて、あとは一気呵成に素晴らしいエンディングまで突き進みました。
途切れない独特のユーモアとドライブ感が心地よいです。特に狂人ピュールの存在が圧倒的で、無茶苦茶さ加減がどんどん加速していき手を付けられなくなっていく様は見事、かつ大笑いでした。他にも例えば鍵盤の中にに閉じ込められた両手が勝手にピアノを奏でたり、ローストチキンが蘇ったりと、ホント、バカ。しかも、それだけやりながら最後は木箱を巡る騒動と、それに続く伏線からの流れをがっちりヒースの丘で結びつける大技まで披露し感動的でした。意外な拾いもの。

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