本の雑誌 10月号 (No.316) / 本の雑誌社 / 648円+税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「いま日本の出版社はどうなっているのか!?」。の前に高野秀行の爆笑名前変更物語。要はブラックリストに入っているインドに入国するため、奥さんと離婚、再婚し、奥さんの名字に替えようという企て。ただねぇ Hiroshi Takano が Hiroshi Takahashi じゃ、最近のシステムは見つけますよ、ホント。でも後編に期待。
で特集ですが。毎度の安易な対談はいい加減止めて欲しいと思います。それ以外の、例えば出版社の机拝見などは面白いのに、冒頭がこれでは…。作家の顔ってそんなに有名なのでしょうか? 例えば絲山秋子は本誌で初めて見たけど、みんな知っているのか!? 蛇足ですが今月の遊びに来た人には毎回、色んな意味で驚かされます。
業界内転職を繰り返す栗原昭二には、もっと詳細に歴史を振り返ってもらい、今月の一冊『デジタルコンテンツをめぐる現状報告』と絡めた紙メディアの将来について考察を加えて欲しい所。参照 : http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-d6cf.html
新刊めったくたガイド。海外ミステリは最低の星でも★★★1/2という超充実ぶり。大森望は神林長平を、宇田川拓也は柳広司を推し、金子のぶおは勝間和代を批判するいつもの展開。アライユキコは本当に「『恋活』がいいぞ」と言っているように読めないがなぁ。あと、ネタバレになるから、なるからと二箇所で言われると、それだけでネタバレの気がする『ザ・ストレイン』など。
「ミーツへの道」では懐かしい名前、溝口久美を発見。大阪にいたのですね、福岡は狭かったか。元証券マン(?) ビンゴ本郷には、百合マンガなら、ずばり、松苗あけみも絶賛の「青い花」でしょう、と言いたい。エンタメノンフ系では、中世づいている宮田珠己の借金事情も面白いが、高野秀行の金玉も爆笑。
ハヤカワの文庫本を縦に大きくしたのは私も大反対。好きなアーロン・エルキンズ作品がオレンジ背のミステリアス・プレス文庫から赤の HM になり、今度はサイズも変わった日には、本棚ぐしゃぐしゃです。
しっとりした所では沢野ひとしの万葉集や、古屋美登里の授業内容も良かったが、はらだみずきの「サッカーストーリーズ」が直球勝負の素直さで、本当に涙がじわっ、と浮かびました。