少年時代 – 傑作! 読後感がすばらしい

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少年時代 / ロバート・R・マキャモン / 二宮馨訳 / 文藝春秋 / 定価 (上)(下)各2000円 ブックオフ自由が丘店で各100円
Boy’s Life / Robert R. McCammon

古きよき時代の終わりを迎えようとしている1964年アメリカ南部。12歳の主人公のかけがいのない1年間。父子が遭遇した殺人事件を巡る大きな謎と絡めながら、日々の細々とした事件、友人、ゼファーの町の住人、空想とも現実ともつかない話を描く。

とても気持ちのいい作品です。ブラッドベリ色が強いのではないでしょうか、ストーリーにしろ、ガジェットにしろ。私はあまり真面目な読者ではないため、確信はありませんが…。
一つ一つの事件がとにかく読ませます。主役コーリーとその家族や友人、その他の登場人物も魅力ある人ばかりです。黒人の女王ザ・レディとの対話、裸のヴァーノンとの対話、ゼファー版真昼の決闘、何でも修理するライトフットさん等々。思い出すだけでもわくわくします。逆に背景の殺人事件は無くても本が成立するくらいで、逆にちょっと邪魔しているような気も。それこそヴァーノンの処女作のようです。

読者は少年時代の終わり、アメリカのよき時代の終わりには冷たい現実が待っているのを知っていますし、あちこちにそれを感じさせる事件や表現ができますが、事件の最後、そして小説の最後には友情や、親子愛や、人間愛の美しさが丁寧に細やかに描かれ、作者の泣きたくなるほどの楽観的な温かい視点を感じます。そうそう悪い面ばかりじゃないやね、と。

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