宇宙クリケット大戦争

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宇宙クリケット大戦争 (河出文庫)
宇宙クリケット大戦争 / ダグラス・アダムス / 安原和見訳 / 河出文庫 / 650円 + 税
Life, the Universe and Everything / Douglas Adams
カバーデザイン 永松大剛 (BUFFALO.GYM) / カバー装画 氷見こずえ / カバーフォーマット 佐々木暁

「銀河ヒッチハイク・ガイド」「宇宙の果てのレストラン」に続くシリーズ第3弾。銀河の果てのクリキット人は、自分ら以外の生命体を皆殺しにかかるが、逆に惑星ごと滞時カプセルに閉じ込められる。1艘だけ逃れた戦艦もいたがカプセルの鍵ともども時空連続体をさまようことになる。ただし時空連続体がゆるみ、皆殺しロボットを乗せた戦艦は、クリキットの主人らを解放すべく、カプセルの鍵を捜索する。アーサー、フォード、スラーティバートファーストらは、宇宙を皆殺しから救う。

スラップスティックな台詞が続くだけの凡作かと思いきや、大ネタ、小ネタが要所要所で炸裂し、読後感は意外な感動でした。たとえばクリキット人が初めて他の生命体を知る箇所。アシモフの「夜来る」のような展開に狂うのか、ショックを受けるのかと待っていれば、結論が他のあらゆる生命体の抹消。それ以上に驚かされるのが黒幕の存在。もちろん復元された「ウィキットの鍵」にも驚かされたし、ロボットを鬱病に叩き込むマーヴィンの人生観には大笑いでした。いやはや素晴らしい。
同時収録「若きゼイフォードの安全第一」は今イチ。

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