本の雑誌 10月号 (No.281) / 本の雑誌社 / 530円 (505円)
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「失敗作ばんざい!」。ばんざいと言うだけあって、ただ、けなすだけでなく、どこかに偏愛や愛しさが感じられる作品の紹介が中心。そんな中で嵐山光三郎の「名前を聞いただけで吐き気を催す作家」島崎藤村の最悪の小説「新生」の紹介は、本当にこちらにもその嫌い度とヌルヌル感が伝わり気持ち悪かったです。
全然関係ないけど、その昔のNHK-FMサウンドストリートで佐野元春が特集した「アーチスト、この曲でブレイクした、よくなった」という、実に健康的な企画に対抗し渋谷陽一がやった「アーチスト、この曲でダメになった」特集を思い出しました。
北上次郎の推薦するヴィカス・スワラップ「ぼくと1ルピーの神様」がムチャクチャ面白そう。なぜスラムの少年がテレビのクイズ番組に全問正解し、多額の賞金を得られたのか。短い人生の中の様々な体験が答えを浮かび上がらせた。で、恐らく問題数と同じだけのドラマが語られる。素晴らしい予感。
青木るえかは、武田百合子についてスローライフな輩の自分が自分がと対極にいるのではないか、と。そう言えば今月の日経WOMANの本特集でも、写真入りで出てたな。人気なのか。
岩井道の紹介する漫画は山本直人「ナルミさん愛してる」。他愛もない絵柄の漫画だけどそのオチかい、とちょっと驚き。泣きそうなので読めそうにありません。
他に面白そうなのがアダム・ファウアー「数学的にありえない」、三浦しをん「風が強く吹いている」、、デヴィッド・マドセン「フロイトの函」など。