女には向かない職業 / P・D・ジェイムズ / 小泉喜美子訳 / ハヤカワ文庫HM / 440円 古本屋で230円
カバー: 菊地信義
An Unsuitable Job for a Woman / P. D. James
カレンダー卿から息子マークの自殺の再捜査を依頼されるコーデリア・グレイ。マークの学友に会い、マークの住んだカテージに滞在し、自殺した直前の足跡をたどるうちに、彼の出生の秘密を知る。
裏表紙の顔写真や、その本のタイトル「皮膚の下の頭蓋骨」等から、もっと頭ガチガチのクリスティ後継みたいな人と思っていたので、いきなりのソフトハードボイルド路線、ヴィクやキンジーらとは違うしなやかな女性らしさ、それでいての強気さを主人公に振り、話しは意外にセックスが絡む。河のピクニックや、乳母の墓参り風景の美しさ。好きになりました。このタイトルも素晴らしいしね。話しも意外な方向に進み、ダルグリッシュ警視も登場。泣いてしまうのは1972年の女性だからか。お約束のエンディングもばっちし決まりました。
が、どうしても許せない、というか分からないのが、一番肝心の、しかも途中でマークの級友も触れる、「何故カレンダー卿が事件の再調査を依頼したのか?」全編で一番重要な部分だと思うんだけど、今読み返しても分からない。結局その違和感が外れないままなので読了しても、奥歯にモノがはさまったような気分でした。うぅ。