本屋大賞2006 / 本の雑誌社 / 580円 (552円)
表紙デザイン 多田進 / 表紙イラスト 多田順
大賞はリリー・フランキー「東京タワー」。なにやかにやと外野はうるさいですが、第1回から、もとい、本の雑誌誌上での書店員匿名座談会から見てきた人間としては何ら恥ずべきない立派な大賞。そのことは書店員個々のコメントにあわられています。通勤電車の往復で何度もぐっときました。
続く、奥田英朗「サウスバウンド」は、元過激派オヤジと少年の中野、沖縄をベースとした突き抜けた話、伊坂幸太郎「死神の精度」は死の判定を仕事とする死神「千葉」を主人公とする連作短編。どれも抜群におもしろそうです。これだけの作品を選んでいけるなら本屋大賞は大丈夫。
AERAも、浜本さんのあとがきを引用できるなら、本文も読んだはず。で、結果があの記事だとすると、ちょっと寂しい気がします。大森望の、投票数が増えれば人気投票的になる、というのも分からなくはないですが、11冊全部を読んでの感想なんで、それも言い切れるほどかどうかは疑問です。
全体で一番記憶に残ったコメントは鹿島田真希「6000度の愛」を推薦するブックセンターほんだ奥田和宏氏(P.87)のコメント。官能の一語ですね。
ところで全体を見て感じたのですが、連作短編のスタイルをとりつつ全体でストーリーを成す作品の多さ。嫌いではないですが、どころか大好きなのですが、ちょっと同傾向の作品が多いと思いました。流行でしょうか?