マニエリズム / 写真:古屋兎丸 モデル:りずむ / ダリオレコード / 2500円
デザイン:chutte
二人の直筆サイン入り限定1000部の大判(A3)写真集。とにかくでかい。広げて見ていると視界がすっぽり覆われ、倉庫や工場に立つモデルと二人きりの錯覚に陥ります。で、内容は空きチャンネル色の空の下、工場、廃線、倉庫街などの無機質で冷たい空間に、これまた無機質で冷たいモデル、りずむが佇みます。全編この調子で、ある意味、怖い。逆に少しでも笑っていたり、水着のサービス・カットがあると違和感を覚えます。コストの問題なのか、狙った効果なのか分かりませんが、紙のざらつき感がそのまま写真にも現れ、風景全体の感じと相まってアントニオーニの映画を見ている感じです。こんな感じなのに手元において何度も眺めているのは、何故でしょうね。
テーマにはエロがあるようですが、学生服の女の子がパンツを見せている写真から想像する「ショートカット」や「π(パイ)」の世界とはまったく逆の、「自殺サークル」や「プラスチックガール」の、ある意味、古屋兎丸のダークサイド(なのか、本質なのか)を忠実に見られます。モデルさんの体形が漫画のような理想形をしているのも驚き。ちなみに期待する向きには申し訳ないほど実用性には遠く、これで勃つ人間はちょっとまずいのではないか、と。
タイトルの「マニエリズム」。モデルの名前からきているだけなのかもしれませんが、一応調べると、
- 「16世紀~17世紀イタリアを中心に展開、反自然的色彩、ゆがんだ人体構図、洗練された技巧による様式美が特徴。」http://gk.cool.ne.jp/gallery/gMannerism.html
- 「流派(?)としてはイタリア美術。時期はルネサンス後期~バロックまでのものを指すそうです。なんでも、ミケランジェロがもう芸術は極めたので、もう俺らは真似するだけというトンデモな主張の元、真似っこ(maniera)したからマニエリズムらしい・・・。そう、マンネリの語源がこれ!!」http://blog.goo.ne.jp/leftofthemiddle/e/52eef8b75d8db35a28e7e3fe64d19eda
後半の説明が面白いですね。2006年1月1日現在、ダリオレコード http://dariorecords.com/ で購入可能です。
「ショートカット」は「ショートカッツ」です。某氏(!)から指摘されました。感謝。…と言うか恥ずかしいです、すみません。