骨の島 / アーロン・エルキンズ / 青木久惠訳 / ハヤカワ文庫 / 840円 (800円)
カバー写真 : (C)Gisuke Hagiwara A.collection/amana
カバーデザイン : ハヤカワ・デザイン
Good Blood / Aaron Elkins
お久しぶりのスケルトン探偵最新作。イタリアのデ・グラツィア家において家長の息子が誘拐される。同じ時に家長の父親の白骨化した他殺体が見つかる。ジュリー、デ・グラツィア家の一族フィルと共に偶然居合わせたオリヴァーは骨の鑑定を依頼され、事件に絡んでいく。
この手のwell-madeなミステリーはいいなぁ、と読みながら何度も思いました。ピーター・ラヴゼイも同じ理由で大好きですし、きっとコリン・デクスターやパーネル・ホールも好きになるでしょう、そんな気がします。ご多分に漏れず洋物ミステリーはホームズやクリスティから入ったのでその延長線上にあるのかもしれません。ではホラーなどの悪趣味好きはどこからかといえば、これは横溝正史でしょうか。
さて原題「良い血筋」。横溝正史ばりのドロドロを期待すると若干肩透かし。あくまでwell-madeなミステリーなのでwell-madeに進みます。ただ今回は伯爵家だの、島に集められた親類などせっかくそれっぽい舞台背景を作ったのだから劇的に活かしてほしい所なのですが、作者はその部分にさほど興味はない模様で、あっさり事件解決は進みます。後半のこの盛り上がりのなさはちょっともったいないかも。
ところでp.92にフィルとヴィンチェンツォが「またいとこ」と出てきます。「またいとこ」って親通しが「いとこ」のことで、この場合はそこまでいかない「いとこちがい」、私の田舎では「いとこはん」だと思うのですが。
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ステファニア=ドメニコ=クラーラ=? コジモ=?
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フランチェスカ ベッラ=バージリオ エンマ=フランコ
ヴィンチェンツォ | |
レア フィル
ちなみにこれを見るとレアがまったくデ・グラツィア家と関係ないことが分かりますね。これ実は重要だったりして :-P もうひとつ疑問はp.363の2行目。ここ「つじつまは合わない」じゃないのかなぁ??