本の雑誌 10月号 (No.268) / 本の雑誌社 / 530円 (505円)
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「がんばれ、翻訳ミステリー」。売れてないそうです。非常にやばい状況とも。生まれたときからこの年まで、翻訳モノ一筋の私としては、困った状況です。まぁ、肌では何となく感じていたんですけどね。翻訳棚に並ぶのはファンタジーとハーレクイン系ばかりだし、ハヤカワ文庫など元気ないし。「SFは振り子が戻った」そうですが、それはライトノベルの話しで、翻訳モノはやはり駄目なんじゃないのか。地道に買い続け、陰ながら応援するしかなさそうです。
大石静「四つの嘘」で北上次郎が紹介する台詞。「いつもわたし、若さにへつらいたくないって思って生きてきたんだ。でもさ、同じくらいの年の男は、必ず家庭があってややこしいし、ずるいし、嘘つきだし、一回しかできないし。」
何かいいなぁ。
散々バカにして近寄りもしなかったのだけど、木村弁護士がうなった、そして完敗である、と言い切った作品、市川拓史「いま、会いにゆきます」。無性に読みたくなりました。ここまで言われても騙されるのだろうけど。
他にマヌエル・ムヒカ=ライネス「七悪魔の旅」、瀬名秀明「デカルトの密室」。読者の推薦でヘンリー・スレッサー「ママに捧げる犯罪」。
三羽省吾「厭世フレーバー」、石原千秋「「こころ」大人になれなかった先生」はどちらも読まないだろうけど興味を持ちました。