ナンバー・ファイブ(吾) (8) / 松本大洋 / 小学館 860円 (819円)
BOOK DESIGN : TAKAHASHI JUNZI
全面戦争。No.吾は軍の兵隊として元平和軍と戦う。劣勢な軍は最終兵器の使用を決断。その後のビジョンに圧倒され慟哭する中にNo.王は、平和を見、No.吾の銃弾に倒れる。
最終巻。結局No.王は人類の上に立とうとし(ここはかなり疑問なのだが)、そして失敗のビジョンを見た先に、終始彼の周りにいる子どもらが彼の後を継ぐことを知り、銃弾に倒れます。マトリョーシカは一貫してNo.王のやり方に異を唱えており、一見すると「逃げ」の姿勢を見せながら、遠隔操作でNo.吾を操りつつ、No.王にバーチャルなイメージを見せながら、彼女の考えたエンディングへと導きます。となると、マリーは遥か以前に、この平和への道を予見していたということになるのでしょうね。
No.吾とマトリョーシカの間に子どもがいるということ、しかもその才能が両親を勝っていることが暗示され、種の永続が匂わせて終わります。
全8巻を振り返ってみるに何度読み返しても、新たな発見があり、またその希望に応えてくれる作品。素晴らしい読書体験でした。