本の雑誌9月号 (No.303)

本の雑誌 303号 (303)

本の雑誌 303号 (303)

本の雑誌 9月号 (No.303) / 本の雑誌社 / 530円 (505円)
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集はシンポ教授による「中田雅久ロングインタビュー」。「新青年」「あまとりあ」「マンハント」の編集者だそうですが、これまでの原田裕、大坪直行両氏へのインタビューほど気分的に盛り上がらないのは、なぜだろう。淡々とし過ぎて、凄さが分からないせいか。
エンタメノンフ系鼎談は、それぞれ互いに対する敬愛の念が出ていていい感じ。その後の宮田珠己の昔の道の意外な風景、高野秀行の嵐山光三郎へのラブコールのどちらも、実に読みたくなる魅力的なテーマと紹介でした。いつも思うのですが「本の雑誌」の対談や鼎談の、場の雰囲気の伝え方はうまいですね。ベスト10の選考や匿名座談会など、相当長い時間のものをコンパクトにまとめる力量も含め。

トヨザキ社長と穂村弘は装幀家について(漢字も同じ)。重要ですよね。しかし、自分の好きな装幀家を指名するなんて羨ましすぎます。田口久美子は商品としてだけの本、「本屋さんが泣いた」系の多発ポップ等々を巡る違和感を、編集者の力と絡めて紹介。最近私も感じるのですが、本屋大賞のちょっとだけ当初の意図とずれた取り上げられ方はなんともね。

江弘毅「ミーツへの道」の神戸の震災、青山南のネットベースの「要約」または「パワー・ブラウズ」について。どちらも何となく分かっていたことが、実は良くわかっていなかったのだな、ということに気づかせてくれます。新刊では笹本稜平「還るべき場所」、飯嶋和一「出星前夜」が面白そうでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です