ファウンデーション 銀河帝国興亡史(1) / アイザック・アシモフ / 岡部宏之訳 / ハヤカワ文庫 SF / 420円 (古本屋で100円)
カバー 鶴田一郎
Foundation by Isaac Asimov (1951)
12000年続いた帝国も崩壊し始めた。弱体化した首都トランターに辺境地域を統治する力はなく、自滅に続く長い、混乱の道を進んでいる。心理歴史学者ハリ・セルダンは混乱を最小限にとどめるべく、現代科学技術を網羅した銀河百科事典の編纂を企画する。ファウンデーションとは百科事典編纂の財団の意である。
まだ1冊も読んでいないのに、すでにベンフォードの『ファウンデーションの危機』まで購入済み(すべて古本屋で100円)の、銀河帝国興亡史シリーズ第1作。勝手に「銀河英雄伝説」みたいなものかと思っていたら(読んでないけど :-P)、科学と非暴力だけで銀河政治を生き残り、影響力を増し、第二帝国にまで展開する、ある意味アシモフの未来楽観論を描いた作品のようです。
オムニバス形式でその時代時代ごとに、ファウンデーションが何を武器に闘ってきたかを描き出す構成で面白く読むもののセルダンの、1000年を絶妙な時期まで見通す計画の実行可能性や、その実現のため心理歴史学を後世から取り上げるなど、疑問をぬぐいきれない部分が多数。この手の天才科学者やら天才犯罪者は苦手です。
冒頭の銀河百科事典の刊行時期(ファウンデーション紀元1020年)からすると、セルダンの計画通りファウンデーションは第二帝国になるようです。統計科学的な「ブレ」が、どの程度になるのかが続編のテーマかも知れません。
ところで読後感が『ハイペリオン』や『タフの方舟』(訳者は酒井昭伸)にとても似ているのは、構成が似ているからなのか、単に訳文のスタイルが似ているからなのか謎。