本の雑誌 5月号 (No.323) / 本の雑誌社 / 705円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「2010年、私の(秘)新作」。73人の作家さんが嬉しそうに(?)自作の出版予定を語っています。最近けなされまくっている村上春樹もいます。大人です。
世間的には電子書籍が大騒ぎですが、書店さんや中継ぎさんや出版社さんと違い、作家さんは生産者であり印税は増えるでしょうし、絶版品切れは事実上無くなるとなるといい事づくめの感もあり。そうした背景からか雑誌不況、単行本不況に対する危機感があまり感じられませんでした。
突発記事の出久根達郎の倉本四郎論も、増田俊也のスペンサー追悼エッセイもしっかり話しを作ってくれていい感じ。
山崎まどかもトヨザキ社長も思わず計りや定規を出してしまう『煙の樹』。山崎まどかと金子のぶお両者が薦める『T・S・スピヴェット君 傑作集』。どっちも無茶苦茶面白そうです。この三者は絶好調ですね。
高野秀行の岩薔薇おじさんとのやり取りは想定の範囲内。それよりは船戸与一『猛き箱舟』の方がよほどよい。「ミーツへの道」はいよいよ次号で最終回。面白いのだけど社長のえぐさにがっくりします。沢野さんの絵が凄いです。『チャイルド44』くらいから冒険小説が少しづつ盛り上がっているようでマイケル・バー=ゾウハーなんてホント久しぶりに聞いて嬉しくなりました。