本の雑誌 1月号 (No.331) / 本の雑誌社 / 762円 + 税
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」。シーナ編集長の最終号ですから当然『ハンターズ・ラン』かと思いきや2位。1位は、もう書いてもいい頃でしょうか、窪美澄『ふがいない僕は空を見た』。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞作だそうです。へぇ、知らなかったな。6位の内田裕也の自伝も面白そうですね。
鏡明のSFベスト10は昨今のブーム通りの力強いベスト、池上冬樹のミステリー・トップ2作品も強そうです。「私のベスト3」では複数の人が挙げた中から『トラック野郎風雲録』『パンとペン』『卵をめぐる祖父の戦争』、他コーナーとの重複分で『我的日本語』など。ただし『昔日の客』はちょっと違うのではないかと思います。読者選では中島さなえ『いちにち8ミリの。』。著者名を知らなくても、中島らもの娘と言われれば俄然興味は惹きますし、実際期待を裏切らない作品のようです。
めったくたガイドからは『華竜の宮』『異星人の郷』『時の地図』『空白の五マイル』、そして山崎まどかの落ち着いた作品群。今月の一冊は『本は、これから』。2011年は2010年以上にこの辺がかしましそうです。ただソニーも電子書籍リーダーを出してきましたが、まだまだ私には違和感が残ります。「書籍」の名のもとに文芸書もマニュアルも漫画も一緒にしているからかなと分析していますが、いつかは慣れる日が来るのでしょうか? 最後の活版雑誌「本の雑誌」としては最後まで紙の雑誌形態を続けてほしい所。
高野秀行のサハラ・マラソンは徒労感が伝わります。実際の結果はやはりヘヴィーだったのですかね。穂村弘は最後の一文に大笑いしました。
浜本編集長となり新しい筆者や、試みもいくつか。
まずクロスレビューですが、この程度の文量は「本の雑誌」に相応しくないと思うのは私だけでしょうか。週刊誌の1コーナーじゃあるまいし、掴みだけで読ませるのでなく、もう少し掘り下げて欲しい所。ベストセラーを抑えておきたいという広告主向けの企画にも思え、少々懐疑的です。新連載陣ではロシア呪術で面白そう…と、思ったら風野春樹のページが移動しただけでした。めったくたガイドの榎本文昌さんが気になります。検索してもヒットしませんね。本屋さんでしょうか? 坪ちゃんのペンネーム? ってわけないか。