皮膚の下の頭蓋骨 / P・D・ジェイムズ / 小泉喜美子訳 / ハヤカワ文庫HM /
The Skull Beneath the Skin / P. D. James
女優クラリッサの島での公演の見張り役を依頼されたコーデリア。コーシイ島には島の所有者であり公演を主催するアンブローズや、演劇評論家、クラリッサの養子、夫らが前の晩から滞在している。本番の直前、クラリッサが顔面を叩き潰された状態で発見され、警察の捜査が始まる。
「女には向かない職業」のときも思いましたが、いい意味で下衆。登場人物、特にコーデリアは魅力的で前半、探偵事務所でのやるせなさとその後の高揚感と焦燥、ラストの警部らと目を合わせる瞬間まで彼女の感情の揺れがそのまま物語と繋がります。時折浮かべるダルグリッシュへの想いも良いですね。
警察側も含め視点がコロコロ変わるのは良いのか、悪いのか。孤島での殺人事件の容疑者を尋問するにはコーデリア一人に視点を固定するわけにはいきませんが、かと言ってバクリー刑事のような中途半端な主要人物に視点を置く意味は見いだせませんでした。