本の雑誌 2026年2月号 (No.512) 焼みかん猫舌号 / 本の雑誌社 / 800円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田浩美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし
空犬太郎の本棚。「多くにグラシン紙がまかれ」「日焼け防止のため常時カーテンが閉められている」。いいなぁ。理想のきれいな「古本屋」です。
特集:本ヲ終活セヨ。
スッキリ隊の座談会では耳に痛いセリフが連発します。
「結局、本を残してる人っていうのは自分が持ってる本が価値があるんじゃないかと思ってる」
「ネット販売が当たり前になってから圧倒的に崩れはじめてる」
「本の雑誌で紹介されてるような本は基本的に値段がつきません」
「読んだらすぐ売るっていうのがいいね、新刊は」
ただし、すべてのページに渡ってどこか「分かってはいるんですけどねぇ…」というムードがあるので、若干の後ろめたさを感じながらも楽しく読めます。できるところからやりたいねぇ…。
新刊
小山正では『悪夢工場』と『怪物の森』がSF味とクセがありそうで少しだけ興味。
大森望では『紅色海洋』。『三体』が合わなかったので中華SFに引き気味なのだけど、これはどうかな。
内田剛のノンフィクションはあったら読むかなぁ。たとえば『古代文字を解読していたら、研究に取り憑かれた話』。杉江の『沖縄 最後の追い込み漁』、浜本の『HHH』、スズキナオの『古老の人生を聞く』も同じような感じ。
浜田の『小さな店をつくりたい』は、和氣正幸のブタコヤブックスの紹介とも共通する話で大変さが感じられます。urbansea の書店チェーンの文具担当のコメント自体にも。本だけ売っている時代じゃないんだよな…。
連載
阿部暁子は本屋大賞で買った本。ブックサンタだからとは言え、本選びにペルソナを導入し、その結果がとてもわかりやすかった。ブックサンタに色々と制限があること(内容も含め。家庭環境を扱ったものはだめとか)を始めて知りました。
穂村弘は70年代のちょっとアヤシー系のマンガ。『包丁人味平』とか。私がジャンプコミックスを買い始めた頃の後ろのこうしたマンガのカットに古臭いなぁと思ってました。今もその気持は変わらずで、興味ないなぁ。穂村弘のここらへんがちょっと意外なんだよな、少女漫画はわかるけど。
小山力也は九品仏の木鶏堂。たまに行くけど本当に紹介のしようのない古本屋で、狭いわ、エンタメ系は少ないわ、代わり映えしないわ。文章にも苦労を感じます。買い物を探すのは大変だったろうな…。
三橋曉は「教皇選挙」。ネタバレアリと言われると読めず。彼の連載はここずっと読んでない。面白そうなのに。スティーヴン・キングに言わせるとネタバレ嫌いは「甘やかされた人の泣き言」らしい。
栗原康は『野生の教養II 』とカオス。統計や確率でも、一度、数値化した事の危険さを伝えます。ストレンジャー・シングスはべつやくれいも。
藤野眞功は『ネパールの歴史』。1985年の本だが変わらないところが寂しい。ラストの中国に対する言葉が現実を的確にまとめています。
青山南はクマが主人公の絵本は今どきどうなのよ、という枕から、方言での翻訳。熊本弁の「かえってこんかったら」の「こんかったら」が懐かしい。
藤岡みなみは『ミライの源氏物語』。現代の価値観で読み返した際の違和感を、肯定、否定抜きで埋めているらしくこれは面白そうだ。
風野春樹は苦しみは人を作るか、に懐疑的。私も同感。