ダーク・タワーIII 荒地 – どうするんだ、これ

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ダーク・タワーIII 荒地 / スティーヴン・キング / 風間賢二訳 / 角川書店 2800円+税
カバーイラスト 西口司郎
The Dark Tower III : The Waste Lands, 1991

ローランドは二重の意識に苦しめられている。少年ジェイクを見捨てた世界と存在しなかった世界。
エディ、スザンナとの一行は巨大ロボット熊<シャーディック>を倒し、<ビーム>に至る道をたどり、東方に都市が見える手前、神託の環状列石に至る。
ジェイクは分裂状態にある。古書店でなぞなぞと『シュシュポッポきかんしゃチャーリー』の本を入手し、幽霊屋敷のゲートからローランドの世界に来る。
ローランドらは<河の交差点>の町でアーント・タリサらの歓待を受け、都市<ラド>では住人<ピューブ>と攻囲軍<グレイ>が戦闘状態にあり、かつて音速モノレール<ブレイン>が走っていることを知る。センド河の鉄橋を渡る途中でジェイクがガッシャーに誘拐される。ローランドは小動物のオイと追う。エディとスザンナはピューブと交戦し、ブレインの駅に向かう。チクタクマンのアジトに連れ込まれたジェイクを助けたローランドはジェイクらに合流すると、ブレインで<ラド>を離れる。

西部劇風の世界にちらほらと、決して邪魔しない形で出てきた文明の名残が、ロボット熊の出現で一転。高度文明社会の成れの果ての地下の住人とか、眠っているコンピュータとの対話とか、音速モノレールとかでチープさ全開。小難しい設定をやる気はなく、まさに『トミー・ノッカーズ』。前半はまだギリギリ保っていた世界観が、最後の音速モノレールでの移動で崩壊。

活劇感は素晴らしい。幽霊屋敷の門番の口中に、スザンナのセックスで抑え込まれていた妖魔を放り込む力技、ガッシャーやチクタクマンのステレオタイプな悪役劇等々。一方で全体的にローランドの魅力が薄く、ストーリーの中で埋もれてしまった感じ。地下通路の照明に戸惑い、モノレールで移動する姿には寂しさしか感じない。もっと活躍してほしい。

メモ

p.6「主な登場人物」のネタバラシはひどい
p.201 「ラスト・スターファイター」は、邦題は「スター・ファイター」。
p.201 「ダーククリスタル」は中黒なし、では?
p.466 「二十五のような偶数」。25は奇数

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