本の雑誌 2024年4月号 – 『百年の孤独』が読みたくなりました。

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本の雑誌 2024年4月号 (No.490) 陽春だるま落とし号 / 本の雑誌社 / 750円 + 税
表紙デザイン クラフト・エヴィング商會 [吉田博美・吉田篤弘] / 表紙イラスト 沢野ひとし

本屋大賞ノミネート作品データ集

読むのが遅くなって、既に本屋大賞は発表済みで『成瀬は天下を取りにいく』。もう凪良ゆうはいいでしょうと判断するだろうから、『水車小屋のネネ』か『黄色い家』を予想していましたが、成瀬は意外でした。ノミネート作品の泣ける話の連続の中で、元気印が逆に良かったのかもしれません。

… と邪推していたら、堀井慶一郎も成瀬。小説が、と言うよりも、成瀬あかりが圧倒的に良いらしい。「長い人生を描きききろうとした小説」が多い中、青春の爆発力みたいなストレート感が良かったようで、ある意味予想どおり。本題とは関係ありませんが、堀井が人の死ぬ小説(=ミステリー系)が苦手な理由はちょっと分かります。殺人が一つの材料でしかないのはわかってても。

特集: マジックリアリズムに酔い痴れろ!

牧眞司の導入がとてもわかりやすく、しかも挙げられた一冊がマキャモン『少年時代』だったので、マジックリアリズムのイメージが明確になりました。狭義の定義には現実社会に対する反抗や怒りも必要なのだろうなとも。となると今世界で一番マジックリアリズムが求められているのは中国じゃないかな。ちいかわが流行しているというのにもそれを感じます。

『百年の孤独』はなんとなく面倒くさい小説と敬遠していましたが、おばあちゃんのとっちらかった話と理解した今は是非読んでみたい。ちなみに焼酎を作っているのは実家の隣町。イアン・マクドナルド『火星夜想曲』も「世界マジックリアリズム全集」も。

関係ないけど藤ふくろうの「マジリア」って略し方は今ひとつ慣れないなぁ。あと「酔い痴れる」ってこんな字を書くんですね…。

新刊

石川美南では『イギリス人の患者』。映画も小説も触れずじまいで来たので、どっかで味わいたいです。
大森望は『ロボットの夢の都市』。エフィンジャーは好きだったのでちょっと興味。

連載

図書カード三万円使い放題は綿矢りさで、訪れたのは誠品生活日本橋店。あー、台北の中山駅に誠品書店ってあったわ! で、買った本の感想で林芙美子は「旅に取りこぼしが無い。」ってうまい表現です。『三体』は私には合わなかったし、『流浪地球』もうーん。
版元パラダイスは神保町ブックフリマでおなじみのクオン。チェッコリってクオンがやってる店だったんだ!
urbanseaの東日本大震災と能登半島地震との距離感の違いのコメントは考えさせられました。その雑誌のほそみちは en-taxi のバックナンバーで東日本大震災号。編集人の一人は坪内祐三。「時代相」という言葉があったのですね。
大槻ケンヂは58歳の誕生日に寄せたエッセイ。変わらない年齢なので気持ちは分かります。毎週ビートルズのベスト10を選ぶ番組があることにもびっくり。
椎名誠は克美荘革命的フトン同盟独立戦線。くだらない話を読ませる。
服部文祥は冒険することと、それを書くことの葛藤。あるいは死ぬほどの冒険をしてないことの後ろめたさ。角幡唯介の素晴らしさ。
七七舎の北村誠社長は1968年生まれで「何かを始められる気がした」とか。同い年でルーチンワークしている身としてはツライ言葉です。
三角窓口の鈴木輝一郎によると、紙媒体の方がネットよりもレギュレーションはゆるいらしい。色々逆転してしまってますね。
風野春樹は「日本でのみ有名な画家の評伝」って、誰だろう? と思ったらラッセン。あぁ、日本「だけ」なんだ…。『評伝 クリスチャン・ラッセン』は彼を通して平成日本を読み解く本の面はあるが、彼自身はよくわからないらしい。
佐々木敦は阿部和重の10冊。『キャプテン・サンダーボルト』で初めて意識した作家ですが、タイトルは聞いたことがあるものばかり。「インテリ・ヤンキー感」でわかったような気がしました。

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