かもめのジョナサン 完成版 / リチャード・バック / 五木寛之 創訳 / ラッセル・マンソン 写真 / 新潮文庫
JOnathan Livingston Seagull by Richard Bach 1970, 1998, 2014
デザイン: 新潮社装幀室
飛行術を追い求めたカモメのジョナサンは、一族の尊厳と伝統を汚したとして群れを追い出される。年月が経ち、<遙かなる崖>に新世界からの迎えが来る。チャンの指導を受けたジョナサンは、また群れに戻る。
ふみちゃんねるの書籍プレゼントでいただいた本の1冊。大串さんと同じく名前は聞いたことがあるけど未読の作品を選びました。
とは言えぼんやりと何か精神世界の本と思っていたので、あまりの絵に書いたような寓話に驚き拍子抜けしました。わかりやすくて面白いんだけど、それだけ。「完成版」に付け足された前書きに、どんなちゃぶ台返しがあるのかと恐る恐る読んだ Part Four も、ファンの二次創作みたいでした。
もしかすると1970年から現代までの間に、この鼻っ柱の強い若者が集団から追い出され、精神世界で悟りを開き、また指導して消え、精霊になって戻ってくるパターンを消費尽くしただけかもしれないな。
気になるのは五木寛之「創訳」という点。どれくらい原文と離れているのか、原文もこんな調子なのか。あと何でタイトルだけ「かもめ」で、中は「カモメ」なんだろうか?
追記 –
以前、本書に触れていたことに思い出しました。入江敦彦の評論の紹介です。ただし取り扱っているのはオリジナル版。「本の雑誌」2014年3月号は2月発売なので、2014年6月刊行のこの「完成版」に多少影響を与えたのかしらん。