新帝都物語 維新国生み篇

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新帝都物語 維新国生み篇(上)(下) / 荒俣宏 / 角川文庫 / 781円+税(上) 857円+税(下)
カバーイラスト: 田島昭宇 カバーデザイン: 片岡忠彦

加藤は新撰組副長土方歳三と共に会津若松で戦い、飯盛山に八門遁甲の陣を張って幕府軍の手助けをするが、坂上田村麻呂が蝦夷地制定の際に建てた石碑「つぼのいしぶみ」発見後は、イザナギ・イザナミが国生みに際して立てさせた天御柱たる瑠璃尺と、コンパスたる七支刀を巡り対峙する。奥州や蝦夷地に眠るヤマトに滅ぼされた民の怨霊と共に将門の霊を呼び覚まし、日本を滅ぼそうとする。函館五稜郭の戦いでは官軍との戦いと共に加藤率いる怨霊との戦いも描かれる。

ドーマンセーマンと五稜郭を絡ませるアイデアが決まった後は一気呵成という感じなのでしょうね、ノリに乗って書いている感じ。途中の描写から岡見が消えるのはミスとしても、幕末の妙なパワーがうまく帝都物語に溶け込んでいます。瑠璃尺と七支刀の件は妙な説得力があり、悪い物差しが生み出す政治不安や、有限と無限の隙間から這い出る魑魅魍魎など荒俣節も冴えます。おちょうの数学講座はかなり無理がありますが…。

下巻400ページ付近の、おちょうと加藤のやり取りがいいですね。様々な神を奉る加藤に邪道の一言を浴びせるおちょう。国学こそまやかしの純粋さに過ぎぬと加藤。後者を正しく思います。

ちなみに本書は『帝都幻談』の続編。文庫化されていないため読み飛ばしてしまいました。単行本を入手したものの、この水木しげるのカバー絵だかジャケット絵はひどくないかい…。

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