過ぎ去りし日々 / ロバート・B・パーカー / 菊池光訳 / ハヤカワ文庫HM / 880円+税
カバー: 辰巳四郎
All Our Yesterdays by Robert B. Parker
アイルランドからボストンに至る三世代の男達の物語。祖父コンはアイルランド独立運動の兵士、父ガスはボストン警察の警部、クリスは教授であり、議員立候補を目論む市長に事件の担当を命じられる。
話の骨格は大河モノながら、中身はそれぞれの「スペンサー」が独自の人生観と女性関係を語る作品。背景の幼女殺害事件やギャングの構想、二つの家族の因縁等、それなりに作っていながら、メインのクリスとグレイスの「画面外の語り」がカッコつけすぎていて、物語を分断してしまっているのは残念。一晩使った三世代の語りが、クリスの恋人グレイスに訴えているのか、いないのか、彼女が最後に許すのか、許さないのか、全く分からないのは致命的だと思います。
メリイ・アリスは最高。