本の雑誌10月号 (No.304)

本の雑誌 304号

本の雑誌 304号

本の雑誌 10月号 (No.304) / 本の雑誌社 / 530円 (505円)
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし

特集は「少女小説の逆襲!」。全篇、氷室冴子へのオマージュで構成された愛情あふれる号で、コバルト文庫に対して特に思いいれのない元男子でも楽しく読めました。「異端」と一括りにされてはいますが、近年の少女小説も米光一成がコンパクトにまとめてくれてます。個人的には川崎ぶらの「雨の日はいつもレイン」が復刊されないかと思うのですが、さて。

書庫を魔窟として訪問する細谷正充邸。これが全読書人夢のような部屋で、全部の背表紙が見えている。しかも漫画多数。ただただうらやましいです。青山南は引き続き「読む」事に対する考察。江弘毅「ミーツへの道」は関西版サブカル創世記だったはずが、気が付くといつの間にか大阪論にまで。今更ながらちょっと驚きますが、振り返れば表裏一体で当然の流れか。
コーマック・マッカーシー「ザ・ロード」はシーナさんと長島千尋が絶賛も、書影を二つ載せる必要性はないのでは? 宮田珠己は中城忠「かくれキリシタンの聖画」をこれ以上ないユーモアと真剣さで取り上げ、とても好印象でした。彼女の書評の姿勢はいつも素晴らしいと思います。沢野ひとしは立ち呑み屋の思い出とともに半生を一気に振り返りつつ。何か最終回みたい。

他にユベール・マンガレリ「四人の兵士」、ジョー・ヒル「20世紀の幽霊たち」、柳広司「ジョーカー・ゲーム」など。

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