本の雑誌 5月号 (No.287) / 本の雑誌社 / 530円 (505円)
表紙デザイン 和田誠 / 表紙イラスト 沢野ひとし
特集は「この本にこの賞を」。編集部浜本さん(?)による「いま文学賞はどうなっておるか」が異常に面白かったです。これまでも何度か疑問や提言の形で触れられた文藝春秋社の芥川賞、直木賞に対する影響をここまで掘り下げたのは初めてではないでしょうか。しかも偶然か必然か「本屋大賞」発表の時期。その他の数々の選考委員を兼ねる井上ひさしに対する軽いジャブ(「読んでなかったりして」)や、食事のん内容だけで語る贈呈式、読者の選ぶ新賞などもよかったです。
新刊ではやはり村上春樹訳「ロング・グッドバイ」が引用最多。面白そうなものにジョン・スコルジー「老人と宇宙」、牧眞司が推薦するすべての作品、宮木あや子「花宵道中」など。
サブカル系の時代回顧としては、毎度のサブカルチャー創世記「植草ブームが爆発した」、日本SF戦後出版史「<異色作家短篇集>刊行の巻」、それに椎根和「平凡パンチの三島由紀夫」、中野晴行「謎のマンガ家・酒井七馬伝」など。
同封の「本のちらし」(http://www.webdokusho.com/からアクセス可)はストレートな編集で大満足。最初はどうなることかと思いましたが落ち着いて読めました。最後のセンテンスの「四人」は「五人」の間違い。