赤い花束 / 高橋留美子 / 小学館 / 1100円 (1048円)
装幀 孝橋淳二 / 装画 高橋留美子
いつものようにいい気持ちになれる短編集。昔の異性の友達を妄想したり、息子、義理のお母さん、老いた父との関係に悩んだり、単身赴任先で淡い恋愛感情を抱いたり、死んでしまったり。中年のおじちゃん、おばちゃんを主人公に、日常の出来事を扱いながら、よくもまぁこんなにすがすがしい話を展開できるものです(褒めてます)。キャラもかわいいし。ま、志摩さんみたいな人がいたらそれこそ大変でしょうが(笑)。
それにしてもどうしてこうも上手に、揺れる男心を描けるのか。もちろん以前から五代君を始めとして、あたる、らんま、犬夜叉と、そのどうしようもない男の性さ加減には、ホトホト感心してきましたが、本書は「日帰りの夢」、「パーマネント・ラブ」と冒頭と最後の作品にそのテーマが顕著なため、すっかり全体の感想を決定付けるイメージになってしまいました。昔から少年漫画で活躍されている所を見ても、作者の内面にはどこかしら「男的」な部分があるんですかね。