メランコリー・ベイビー / ロバート・B・パーカー / 奥村章子訳 / ハヤカワ文庫 / 840円 (800円)
カバーデザイン 馬場崎仁 / カバー写真 (C) KATRIN THOMAS/photonica/amana
Melancholy Baby / Robert B. Parker
自分の両親が本当の両親でないと信じるサラは、サニーに両親探しを依頼する。調査が始まると圧力がかかるが、逆にそこから芋蔓式に犯人にまでたどり着く。一方でサニーは、元夫リッチーが再婚することを知り、精神の安定を取り戻すべくスーザン・シルヴァマンのカウンセリングを受ける。
推理小説の風をしながら、半分はカウンセラーとの対話。何なんだ。しかも出てきたスーザンをサニーが誉める誉める。「なんて素敵な人だろうというのが、わたしの第一印象だった。」って、お気に入りのキャラかもしれないけど、こうまで手放しで自分の創造物を自画自賛しますか、パーカーさん。カウンセリングの内容自体も実に他愛ないし…。
本筋の事件も何なんだか。関係者全員が口を閉ざす中、対抗する物的証拠は被害者が殺される前に送った写真と、ギャングの摩訶不思議な影響力で見つけた実行犯の自供。ちょっとひどい。
唯一感心したのが造本で、登場人物紹介。後半に出てくる関係者についての記述はまるでなし。ふ~む。登場人物紹介ってまったく読まないので気づきませんでしたが、最近はそうなんですかね。